男はつらいよ・寅次郎と殿様

第19作 1977年。マドンナは真野響子
先ずは満男のためにさくらの亭主の博が鯉のぼりを、とらやの裏庭に上げているところへ帰ってきた寅さん。甥の満男のためと小さな鯉のぼりを土産として出したことで騒動が持ち上がる。さらに野良犬の名前が「とら」であったことも重なりとらやの面々とケンカしとらやを飛び出したところまではいつものパターン。
旅先の愛媛県大洲の旅館で隣に泊まっていたのが、亡くなったご主人の墓参りに来ていた、真野響子演ずる鞠子さん。暗い表情の彼女を元気付けようと名物の鮎の塩焼きを夕食に追加したり、土産を持たしたりしたことで500円札しかなくなった寅さん。
城跡でその500円札を風で飛ばされ、それを拾った老人にお礼だといってラムネやアンパンを振舞ったら、その老人が粗餐(粗末な食事の意味…昼食)を食べさせると寅さんをお屋敷に連れ帰る。その老人は世が世ならば伊予・大洲藩の18代目の殿様だという設定で、嵐寛寿郎が演じている。
その殿様に頼まれ亡くなった末息子の未亡人を探すことを引き受ける。殿様が後日上京しとらやに現れたことで、本気で探し回ることになるが1日でくたくたになってしまう。ちょうどそこでとらやを訪ねてきたのが鞠子さんで、話を聞いて探している人と同一人物であることがわかり、殿様と対面し心を通わせる。
後日殿様からの手紙に、鞠子さんを大洲に引取り、ついては寅さんと再婚させたいと書いてあったために、寅さんは舞い上がってしまう。さくらがとらやに来た鞠子さんに大洲に行って殿様と暮らす気はないかと聞くと、もう少ししたら再婚しようかと思っている人がいることを打ち明けられる。
その後また旅に出て、大洲の殿様のお屋敷に厄介になっている寅次郎の姿が...
脇役には殿様の執事役の三木のり平、大洲の街の巡査役で寺尾聡など。

冒頭の夢のシーンでは、嵐寛寿郎の往年の当たり役「鞍馬天狗」を寅さんが演じる。冒頭の夢の中シーンの悪役は座長の吉田義男、たこ社長の太宰久雄、ゲンちゃんの佐藤蛾次郎などいつもの顔触れである。