北海道旅行と初めての飛行機

1974年の5月連休。労働組合青年婦人部主催の北海道道南旅行ツアーがあった。参加者は19名(男10、女9)であった。
まず1日目は初めて乗る夜行寝台列車で青森まで行き、2日目朝青函連絡船で函館の地を踏んだ。函館ではまだ桜のつぼみの硬い五稜郭に行き、五稜郭タワーの上から西洋の近代的な城郭を眺めた。その後バスで函館山に登り、宿泊地の湯の川温泉に入った。夕食後再度函館山に行き、百万ドルの夜景を眺め2日目の日程が終了した。
3日目は函館駅から函館本線の汽車に乗り、大沼、駒ヶ岳を車窓に見ながら苫小牧へ。そこからバスで支笏湖、白老アイヌコタンを巡り、登別のクマ牧場を経て登別温泉に宿泊。支笏湖で何人かがペアを組んでボートに乗ったのだが、僕はYちゃんと一緒になった。また登別のクマ牧場でもYちゃんの横にいた。というのもこの旅行ではYちゃんと仲良くなりたいという意思よりも、意図的にJちゃんと二人っきりになることを避けていたのであった。これについてはまた何時か後で触れなければならない。
4日目は昭和新山洞爺湖を訪ねた後、羊蹄山を眺めながら定山渓から札幌市内へと入って行った。宿泊は時計台の真正面にあるホテルであった。
最終日は札幌市内観光と二条市場でカニなどの海産物を買った後、クラーク博士の像で有名な羊ヶ丘展望台に行きジンギスカンの昼食。食後ビールの酔いを醒まそうとYちゃんと園内を散歩。小川のほとりで腰をおろして見ていたら、Yちゃんが何かを探していた。彼女に初めて出会った時に彼女がみんなの前で歌っていた井上陽水の「夢の中へ」を真似て、「探し物は何ですか?」と聞くと「四つ葉のクローバー」と返って来た。
その後千歳空港から生まれて初めての飛行機に乗り羽田へと向かったが雲の中を飛ぶ時の揺れが大きく、スチュワーデス(現在はキャビンアテンダント=CA)が通路に立っていられなかったほどであった。参加者の中には羽田到着で恐怖から解放されホッとしたのか、土産で買った高価なカニを機内に置き忘れたというものも出たほどである。初めて乗った飛行機は便利というよりも、怖くて緊張するものという感覚であった。

僕は旅行中に札幌から、前年2度ほどデートした「ときめきの人」に絵葉書を出した。というのも5月連休前にその人が旅行先(伊豆大島だったか八丈島からだったかは忘れた)で出した絵葉書が届いたこともあって、その返事のようなつもりもあったのだ。この時点では二人の間には数か月連絡が取れていないけれど、付き合いが終わったという感覚はそれほどなく、きっかけを探っての絵葉書であったと思う。その絵葉書を書いている時に、そばの席でYちゃんも何やら絵葉書を書いていたのだが___
旅行から帰って少ししたら、Yちゃんが北海道で出した絵葉書が届いた。宛先の下の文面は「旅の想い出は、貴方という名のカメラで、心というフィルムに残してください」とあった。

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北海道旅行のアルバムの中の2ページ、右上にYちゃんからの絵葉書 中央は旅行のしおり