僕はジュリー???

整理してない写真の束を一枚一枚見ていたら、僕はいつもいろんな場面でジュリーの歌を熱唱していた。
スナックで8トラックのカラオケで、旅館の宴会場で浴衣姿で、キャンプファイヤーの火の前でおたまを持って、スキー場のホテルのレストランで椅子の上に立ちあがって___
大きく口を開けると、それでなくても細い目が塞がってしまい、自分で自分に陶酔したような表情をして___
スナックに行けば8トラックのカラオケセットで歌えたが、ほかの場では完全にアカペラだった時代のこと。
歌は下手だし、リズム感はないし、ただ大きな騒音でガナッていただけだった。
そこにいる誰もが迷惑を感じながらも、騒音は場を盛り上げていた。
今ではレーザーカラオケやら、通信カラオケやらで、きれいな画面に歌詞が出てきて、今ここを歌っているよとわかるけど、その頃は歌詞を全て覚え込まなければ歌えない時代であった。
ある休日の真昼間、独身寮の6畳の部屋の窓を閉め切り、入口のドアにベッドのマットレスを立て掛けて、同室の後輩が奏でるギターをバックにガナッていたら、寮の先輩がびっくりして部屋に飛び込んできた時の呆れた顔、写真を眺めていて思い出した。
そんなバカなことをやっていた時代もあったが、一番好きだった人の前ではそんなバカな自分を一度もさらけ出したことがなかった___

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いろんな場面でジュリーの歌をガナッていた